会社に依存しない生き方を発信

春駒 ~吉原花魁残酷日記~漫画ネタバレ感想張見世~ネタバレ散らし書き③~

光子が連れてこられた「貸座敷」って何?張見世、廻し部屋。大正モダンの頃、苦界に売られた少女たちが苦しんだ遊女屋のことを少しご紹介。

春駒 ~吉原花魁残酷日記~主人公

春駒(はるこま) 
本名森光子。群馬県出身の実在した女性。周旋屋に騙される形で吉原に遊女として売られます。客を取らされて絶望しながらも花魁としての毎日を克明に綴ります。

春駒 ~吉原花魁残酷日記~簡単なあらすじ

大正13年(1924年)、19歳の森光子は父親の借金を返すため、周旋屋に伴われ上京します。お酌をする仕事と聞いていたのに、本当は吉原に娼妓として売られたことを、春駒の名で客を取らされ初めて知ります。絶望し、死のうとしますが思いとどまり、光子は復讐の第一歩として日記をつけ始める。楼主の取り分が異様に多く借金を差し引くとほとんど手元に残らない稼ぎのこと、優しい紫君や自分を慕ってくる清川など朋輩たちとの交流など、光子が花魁春駒として暮らした日々の記録

貸座敷(かしざしき)

貸座敷は、明治5年(1872年)の「娼妓解放令」によりできました。漫画で、光子が長金花楼に連れてこられた場面では立派な門構えだけが描かれていますが、森光子さんの日記には「右の入り口の看板に貸座敷と云う小文字が目に入った。」と書かれています。

発端は、日本開国後最初の国際裁判の事例となった「マリア・ルース号事件」。修理のため横浜港に寄港していたペルー船マリア・ルース号から清国(当時の中国の国名)人労働者がイギリス船に逃げ込みました。船内で清国人らを奴隷的に扱っていたことが発覚し、救出のため裁判が日本で行われることに。日本側は人道的立場から清国人労働者の解放を条件に船の出航を許可します。しかしペルー側は

苦力(清国人労働者のこと)たちよりもっとひどい扱いを受けている娼妓たちはどうするのだ

と国際裁判の場で反論してきました。

日本側は「公娼解放準備中」と答え、「芸娼妓解放令」施行。

しかし解放されても娼妓たちには行き場所がなく、政府は楼が前借金で遊女を抱えるのではなく、営業したい遊女に部屋を貸すと言う形で公娼婦地区を認めます。これが「貸座敷」で、それまでの「遊女屋」と実質的にはほとんど変わりませんでした。

張見世(はりみせ)

花魁たちが、お客に名指されるのを待つ部屋。初めて客を取る晩、春駒は朋輩の清川と一緒に御飯を食べ、入浴・化粧し、着飾ったあと、この部屋に入ります

昔の張見世は通りに向かって格子が嵌っていて、お客は格子の内側に居る花魁を物色することができ、会話も交わせたそうです。
大正5年(1916年)、人道的見地から警視庁により張見世は禁止され、店に花魁たちの写真が飾られる「写真見世」になりました。

店に入るとショーケースの中に、見世に居る花魁の数だけ上半身の写真が飾ってあり、お客はここから花魁を選びます。(長金花楼は写真を壁に飾っていました)そして見世に出たての花魁には「初見世」と書いた札をつける。春駒の写真にも付けられていましたね。写真を撮るのがとても巧い写真屋がいて、修正も上手く、写真を見て指名した花魁が実際に出てくると、あまりの違いにトラブルになったこともあったとか。

森光子さんの日記に、警察に娼妓とどけに行った日の事があり、同じ日に「午後二時、すぐ近くの写真屋へ写しに行く。」とあるのは見世に飾る写真を撮りに行ったのではないでしょうか。

日記には張見世でお客のつかない花魁同士がおしゃべりしていたり、おはじきをしている様子も描かれています。

廻し部屋

春駒が初めて客を取らされた時、「花魁部屋へ案内してくれ」と言われ、おばさんに何のことか聞きに行くと、おばさんは「ここです」と言って15と番号の書かれた部屋を開けます。既に枕が2つ並んだ床がのべられている。

「五人廻し」なんて古典落語の時代から、遊女がお客を掛け持ちすることがあり、「まわしをとる」と言ったそうです。お客は部屋で花魁が来るのを待っている。場合によっては四畳半くらいの部屋をつい立てなどで仕切って1部屋を2組同時に使った事もあったそうです。プライバシーダダ漏れが却っていい刺激になると言うお客や、まわしをとられることに「粋」を感じるお客もあったそう。

森光子さんの日記にも「酒に酔っているから、少し休ませて貰いさえすればよい」という客を「九番」の廻し部屋に寝かせ、自分は他のお客の所に行ったり朋輩と遊んでいたりしたら客が怒り出し、玉代を返せと言われたという話や、五番の部屋ではうなされる、十三番の部屋には足の見えない花魁が現れるなど、恐い話が出てきます。

遊女の一日

春駒が見世に出て間もない頃、ワガママな客が布団を吐瀉物で汚してしまい、閉口させられたことがあります。朝の8時半までいぎたなくしているお客を起こし、支度させ、やっと帰したと思ったら「しっかり掃除してくださいね」とおばさんに嫌みを言われながら部屋の掃除。やっと床についたのはお昼近くです午後4時に起きて食事、入浴、化粧…。こんな生活の末入院し、退院すればその日から仕事。若い春駒でも体を壊してしまうでしょう。花魁たちへの酷い扱いや過酷な生活に驚くばかりです。

 

※この記事は、表題の漫画の他に、下記を参考に作成しました。

『吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日』(森光子著 朝日文庫)

『吉原はこんなところでございました』(福田利子著 ちくま文庫)

→マリア・ルス号事件(Wikipedia)

→名作に見る住まい(すまいるクラブ)

→明治期の芸娼妓解放令(天祐 神助)

こちらもどうぞ

→春駒 ~吉原花魁残酷日記~漫画ネタバレ結末

→春駒 ~吉原花魁残酷日記〜(7〜11話)漫画ネタバレ結末

→春駒 ~吉原花魁残酷日記〜(12〜14話)漫画ネタバレ結末

→春駒 ~吉原花魁残酷日記〜(15〜18話)漫画ネタバレ結末

→春駒 ~吉原花魁残酷日記~漫画ネタバレ生き地獄~ネタバレ散らし書き~

→春駒 ~吉原花魁残酷日記~漫画ネタバレ感想花魁~ネタバレ散らし書き②~

オススメまんが

→面白い漫画オススメ。元まんが喫茶店員の全リスト【執筆中】